受理番号:91
社会保障制度の整備、子育て施策、地域活性化の推進等のための地方財政の充実・強化を求める請願
(請願要旨)
急激な少子高齢化に伴う医療、介護など社会保障制度の整備、子育て施策、人口減少下における地域活性化をはじめ、デジタル化、脱炭素化、物価高騰対策、教育の無償化、防災・減災、地域公共交通の再構築など、地方公共団体には多岐にわたる行政需要への対応が求められている。加えて、多発化、激甚化する自然災害への対応や、行政コストの増大、人材不足の深刻化などにより、地域公共サービスを担う現場は厳しい状況に置かれている。こうした中、地方公共団体が住民生活を支える公共サービスを持続的かつ安定的に提供していくためには、その基盤となる地方財政の充実・強化を図ることが不可欠である。よって、2027年度政府予算及び地方財政計画の策定に当たり、地方公共団体の確実な行政運営の推進に向け、地方財政の充実・強化を図るよう、政府に対して意見書を提出するよう請願する。
(請願理由)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に際しては、ワクチン接種や保健所を含めた医療提供体制の構築など、地方公共団体は住民の生命と健康を守るため重要な役割を果たしてきた。また、東日本大震災津波をはじめ、相次ぐ自然災害への対応においても、被災者支援や地域の再建、住民の安全確保のための施策の充実が強く求められており、その実施には安定した財源措置が必要不可欠である。
加えて、急激な少子高齢化に伴う医療、介護等の社会保障制度の整備、子育て支援、人口減少下における地域活性化、自治体DX、脱炭素化、物価高騰対策、教育の無償化、地域公共交通の再構築など、地方公共団体が担うべき役割は一層拡大している。一方で、こうした行政需要の増大に対し、地域公共サービスを担う人員は不足しており、職場の疲弊感も深刻化している。諸課題に適切に対応するためには、人材確保と、それを支える地方財政の充実が極めて重要である。
政府はこれまで、経済財政運営と改革の基本方針(いわゆる骨太の方針)において、地方一般財源総額の確保について一定の姿勢を示してきたが、物価高騰や資材・労務費の上昇による行政コストの増大、賃金上昇に対応した人件費の確保、慢性的な人員不足への対応などを踏まえれば、なお十分とはいえない。2026年度地方財政計画においては、物価高や人件費の増大に一定の対応がされたものの、2027年度政府予算及び地方財政計画の検討に当たっては、これらの要因をより的確に反映し、現行水準にとどまらない、更なる地方一般財源総額の確保・充実が求められる。
また、会計年度任用職員制度については、処遇改善を目的として各種見直しが進められてきたものの、なお常勤職員との格差や財源措置の不十分さが課題となっている。任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持しつつ、会計年度任用職員の適正な勤務条件の確保と処遇改善に必要な財政需要へ的確に対応していく必要がある。
さらに、自治体業務システムの標準化・共通化、戸籍等への氏名の振り仮名の追加、マイナンバーカードを基盤とした健康保険証や運転免許証との機能統合、サイバーセキュリティ対策の強化など、自治体DXに伴うシステム改修や事務負担、人件費の増大が見込まれている。これらは国の政策に起因するものであり、必要な経費は国の責任において確保されるべきである。
よって、国においては、2027年度政府予算及び地方財政計画の策定に当たり、地方公共団体の確実な行政運営の推進に向け、地方財政の充実・強化を図るよう、次の事項について、地方自治法第99条の規定による意見書を政府に対し提出するよう請願する。
(請願項目)
1 社会保障の充実、子育て施策、地域活性化、自治体DX、脱炭素化、物価高騰対策、教育の無償化、防災・減災、地域公共交通の再構築など、増大する地方公共団体の財政需要を的確に把握するとともに、それを支える人件費を重視しつつ、現行の水準にとどまらない、より積極的な地方一般財源総額の確保・充実を図ること。特に、子育て対策、地域医療の確保、介護、生活困窮者自立支援、児童虐待防止、保育施設等における児童の安心・安全を保障する人的環境整備など、より高まりつつある社会保障ニーズに対応するため、人材確保に向けた自治体の取り組みを支える地方単独事業分も含めた十分な社会保障関係経費の拡充を図ること。
2 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症対策について、地方公共団体が混乱なく対応できるよう、的確な実態把握と適切な情報提供を行うとともに、保健所を含めた衛生医療体制に係る支援を進めること。
3 東日本大震災津波からの復興にあたっては、被災者支援と産業・生業の再生に力点を置き、引き続き地方公共団体が施策を着実に進めることができるよう、必要な復興事業費総額の確保を図ること。
4 地方交付税の財源保障機能・財政調整機能を強化するとともに、地方交付税法第6条第1項に定める対象国税4税(所得税、法人税、酒税、消費税)の法定率引き上げを図るなど、引き続き臨時財政対策債に頼らない、より自律的な地方財政の確立に取り組むこと。あわせて、地域間の財源偏在性の是正に向けては、より抜本的な改善を行うこと。
5 政府として減税政策を検討する際は、地方財政を棄損することがないよう、あらかじめ国と地方の協議の場を活用するなど、特段の配慮を行うとともに、地方財政への影響が想定される場合には、確実にその補填を行うこと。
6 地方創生推進費として確保されている1兆円については、現行の財政需要において不可欠な規模であることから、恒久的財源としてより明確に位置付けること。また、行革努力や取組成果に応じた算定方法については、標準的な行政水準を保障するという地方交付税制度の趣旨を踏まえ、慎重に対応すること。
7 2027年度の給与改定に備え、社会全体で求められている賃上げ基調と相応する十分な給与改定費等を措置するとともに、地方公共団体の人材確保に必要な財政措置の拡充を図ること。
8 会計年度任用職員・暫定再任用職員の更なる処遇改善に向けて、勤勉手当を含め必要な財源措置を講じること。あわせて、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持し、行政需要に応じた常勤の地方公務員の確保に係る地方財政措置の拡充を図ること。
9 自治体業務システムの標準化・共通化に向けては、システム移行に係る経費、改修経費、運営経費の増加分を含め、国の責任において必要な財源を確保すること。また、戸籍等への記載事項における氏名の振り仮名の追加、マイナンバーカードを基盤とした健康保険証・運転免許証との機能統合、自治体のサイバーセキュリティ対策強化など、自治体DXに伴う事務負担、人件費、システム改修経費の増大に対して、十分な財政支援を行うこと。
10 地域活性化に向けて、その存在意義が改めて重視されている地域公共交通について、公共交通専任担当者の確保を支援するとともに、普通交付税の個別算定項目に位置付けるなど、一層の施策充実を図ること。
11 地域医療を安定的に確保する観点から、物価高騰等の影響を踏まえ、公立病院をはじめ、公的病院、大学病院などの医療機関に対する十分な財政支援を講じること。
12 人口減少に直面する小規模自治体を支援するため、段階補正を拡充するなど、地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化を図ること。
13 自治体が行う各種事業において、労務費の適切な価格転嫁が図られるよう、必要な財政措置を講じること。
※項目2及び11は環境福祉委員会に付託